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VPN中に家のプリンターが使えない|原因と直し方

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VPNをオンにしたまま印刷しようとすると、プリンターが一覧から消えている。NASの共有フォルダを開こうとしても「見つかりません」で止まる。VPNを切れば元どおりになる。

この症状はVPNの故障ではありません。家の中だけで完結するはずの通信まで、VPNのトンネルに吸い込まれているのが原因です。

この記事では、原因を3つに切り分けたうえで、直し方を3通り示します。ローカルネットワークを許可したときに何が起きるのかという、セキュリティ側のトレードオフまで扱います。

まず疑う順番

上から順に試すと最短で片づきます。

  1. VPNアプリの「ローカルネットワーク許可」がオフ — 家のLAN宛の通信までトンネルに入っている
  2. キルスイッチがLAN内の通信までブロックしている — 通信そのものが遮断されている
  3. プリンターの自動検出がトンネルを越えられない — 機器は生きているのに一覧に出てこない

1と2はVPNアプリの設定で直ります。3はパソコン側でプリンターをIPアドレス指定して追加すれば通ります。サービスを乗り換えても直らない種類の症状なので、契約を見直す前に設定を確認してください。

VPNで家のプリンターが消える理由

1. 家の中の通信までトンネルに入っている

VPNをオンにすると、パソコンやスマホの通信はVPNサーバーを経由します。このとき、同じ家の中にあるプリンター宛の通信までトンネル側に流れる設定になっていることがあります。

プリンターは家のルーターの内側にいます。VPNサーバーから見れば、その機器はどこにも存在しません。結果として通信の行き先が見つからず、印刷ジョブが届きません。広島大学の情報メディア教育研究センターも、VPN接続時にローカルのプリンタへアクセスできない事象をFAQとして公開しています(最終確認日:2026-09-06)。

2. キルスイッチがLAN内の通信を止めている

キルスイッチは、VPNが切れた瞬間に通信を遮断してIPアドレスの露出を防ぐ機能です。この遮断の対象に、家のLAN宛の通信が含まれる実装があります。

ExpressVPNの公式サポートは、LAN上のプリンタや共有ファイルにアクセスできない場合の対処として、Network Lock(同社のキルスイッチ)を一時的に無効にして確認する手順を案内しています(最終確認日:2026-09-06)。裏を返せば、キルスイッチが原因になる場面が実際にあるということです。

キルスイッチそのものの役割はVPNのキルスイッチとは|設定手順とOS別の落とし穴で整理しています。

3. プリンターの自動検出がトンネルを越えられない

パソコンがプリンターを一覧に表示できるのは、同じネットワーク内に「ここにいます」という信号を投げて、返事を受け取っているからです。この仕組みはmDNSやSMBのネットワーク探索と呼ばれます。

信号は家のネットワークの中だけを飛びます。VPN経由の経路には流れません。機器は正常に動いているのに、パソコンからは存在しないように見えるのがこの段階です。印刷キューにジョブがたまらず、追加画面にも出てきません。

直し方1 ローカルネットワーク許可をオン

VPNアプリの設定に、家のLAN宛の通信をトンネルの外に出すスイッチがあります。名前はサービスごとに違います。

  • ExpressVPN:ローカルネットワークデバイスへのアクセスを許可(Network Lockの設定内)
  • 企業向けクライアント:VPN使用時にローカル(LAN)アクセスを許可する
  • 一般的な呼び名:ローカルネットワーク共有/LANアクセス許可

設定を変えたあとは、VPNを一度切断して接続し直してください。接続中のまま設定を変えても反映されない実装が多いためです。

この方法の利点は、変更が1か所で済むことです。プリンターもNASも家のファイル共有も、まとめて元どおりになります。

直し方2 スプリットトンネリングで除外

スプリットトンネリングは、通信をアプリ単位・サイト単位でVPNの外に逃がす機能です。プリンタードライバーやNASの管理ソフトだけを対象外にすれば、ブラウザやメールはVPNのまま守られます。

Surfsharkはこの機能を「Bypasser」という名前で提供しています。公式の機能ページによると、対応はWindows・macOS・Android・iOSと、Chrome/Firefox/Edgeのブラウザ拡張です(最終確認日:2026-09-06)。

設定の考え方はシンプルです。

  1. VPNアプリの除外リストを開く
  2. プリンター関連のアプリ、またはプリンターのIPアドレスを追加する
  3. VPNを接続し直して印刷を試す

除外の対象を広げすぎると、守りたい通信までトンネルの外に出ます。必要なアプリだけを1つずつ足していくのが安全です。機能そのものの詳細はVPNのスプリットトンネリングとは?使い方と対応VPNの選び方で扱っています。

直し方3 IPアドレスで直接追加

自動検出だけが通らない場合は、プリンターのIPアドレスを手で指定して追加すれば印刷できます。ExpressVPNの公式サポートも、Mac向けの対処としてシステム設定の「プリンタとスキャナ」からIPアドレスで追加する方法を案内しています(最終確認日:2026-09-06)。

手順の流れは次のとおりです。

  1. プリンター本体の操作パネルでネットワーク設定を開き、IPアドレスを確認する(192.168で始まる数字)
  2. ルーターの設定画面で、そのプリンターのIPアドレスを固定に変更する
  3. パソコンの「プリンターの追加」でIPアドレスを直接入力する

2の固定化を省くと、ルーターの再起動でアドレスが変わって再び印刷できなくなります。IP指定で追加するなら固定化までがセットです。

VPN | 家のプリンターが使えないとき

VPN中に家のプリンターを使う4つの方法

どれを選ぶかは、守りたい通信の範囲で変わります

設定の手間VPNの保護が続くか同じ家の他人からの見え方
ローカルネットワーク許可 アプリのスイッチ1つ ○ 1か所を切り替えるだけ ○ 外向きの通信はVPNのまま △ 同じWi-Fiの端末から見える
スプリットトンネリング アプリ・IPを指定 △ 対象を1つずつ登録する ○ 除外したもの以外は守られる △ 除外した通信だけ素通り
IPアドレスで直接追加 IP固定とセット × ルーター設定まで必要 ○ VPN設定は変えない ○ VPNの設定は緩めない
VPNを一時的に切る 印刷のときだけ ○ 操作は最小 × 切っている間は保護なし × 素のIPアドレスで通信する
  • ※ローカルネットワーク許可は、同じWi-Fiにつないだ他の端末から自分の端末が見える状態を含みます。公衆Wi-Fiではオフに戻す前提で使ってください。
  • ※表の内容は各社の公式サポート情報と一般的な仕様にもとづく整理です。設定名と挙動はサービス・OSにより異なります。

セキュリティくらべ

ローカル許可をオンにするリスク

ローカルネットワーク許可は、便利さと引き換えに守りを1段ゆるめる設定です。

家のWi-Fiでは、つながっているのは自分と家族の端末だけです。プリンターやNASが見える状態でも困りません。問題は、その設定を入れたまま外に持ち出したときです。

カフェやホテルのWi-Fiでは、同じネットワークに知らない人の端末がいます。ローカル通信を許可していると、自分の端末がその中で見える状態になります。NordVPNは、この種のローカルネットワーク経由の露出を抑えるためにmacOS向けの「Stay invisible on a local network」機能を用意し、サポート記事で背景を公開しています(最終確認日:2026-09-06)。

現実的な運用は次の形です。

  • 自宅のWi-Fi:ローカルネットワーク許可をオン
  • 公衆Wi-Fi・ホテル:オフに戻す
  • 迷ったらオフ。印刷が必要なときだけオン

**「完全に安全な設定」は存在しません。**場所によってスイッチを切り替える運用が、手間と守りの折り合う点になります。

それでも直らないときに疑う場所

会社のVPNは別の仕組み

会社から配られたVPNは、この記事で扱う個人向けVPNとは設計が違います。ローカルアクセスの可否を情報システム部門が固定していることがあり、利用者側の設定では変えられません。会社のVPNで印刷できない場合は、自己判断で設定を変えず担当部署に確認してください。社内システム側でIPを制限しているケースはIP制限で自宅から社内システムに入れない|固定IP VPNの選び方で扱っています。

ルーターにVPNを入れている場合

ルーター自体にVPNを設定していると、家中の通信がまとめてトンネルを通ります。この構成では端末側のスイッチが効きません。ルーター側で除外設定を作るか、プリンターだけ別のネットワークに置く必要があります。構成の得失はVPNルーターで家じゅうを守る方法|メリット・デメリットと選び方にまとめました。

NASだけ見えない場合

プリンターは直ったのにNASの共有フォルダだけ開けないときは、ファイル共有の経路が別に塞がれています。パソコンのネットワークプロファイルが「パブリック」に切り替わると、OSがファイル共有とネットワーク探索を止めます。VPN接続をきっかけにプロファイルが変わることがあるため、そこを確認してください。NASの位置づけそのものはNASとクラウド、バックアップはどっち?個人・小規模向けに冷静比較で整理しています。

家のLANと両立しやすいVPNの条件

設定で直せる症状とはいえ、直しやすさはサービスで差が出ます。見る点は3つです。

  • スプリットトンネリングがある:プリンターだけを外に逃がせる
  • 使っているOSで、その機能が動く:Windowsだけ対応というサービスもある
  • 家の端末をまとめてカバーできる:パソコン・スマホ・タブレットで設定が揃う

Surfsharkは、Bypasser(スプリットトンネリング)をWindows・macOS・Android・iOSで提供しています。接続できる端末の台数に上限を設けていないことも公式サイトに記載があります(最終確認日:2026-09-06)。家の端末が多いほど、台数無制限の効き方が大きくなります。

印刷やNASのために設定を触るなら、返金保証の期間内に自分の環境で試して判断するのが確実です。

別の選択肢として、ExpressVPNは「LANでイントラネット、プリンタ、共有ファイルを使用できない」という日本語のサポートページを公開しています。ローカルネットワークデバイスの許可、Network Lockの一時停止、MacでのIP指定追加という3手順が明記されており、詰まったときに読む先がはっきりしています(最終確認日:2026-09-06)。同ページには、ルーター版とAndroid版ではこの制限が起きないという記載もあります。

よくある質問

VPNを切れば印刷できるのに、設定を直す意味はありますか

印刷のたびにVPNを切る運用は、戻し忘れが起きます。戻し忘れた状態は、VPNを使っていない状態と同じです。設定で解決しておけば、切り替え操作そのものが不要になります。

ローカルネットワーク許可をオンにすると、通信は暗号化されなくなりますか

外向きの通信はVPNのまま暗号化されます。変わるのは家のLAN宛の通信だけです。同じネットワーク内の機器とのやりとりがトンネルを通らなくなります。

スマホからも家のプリンターに印刷できますか

スマホ側でも同じ考え方が使えます。iOSとAndroidでスプリットトンネリングやローカルネットワーク許可の対応状況が違うため、使っているOSで機能が提供されているかを先に確認してください。

印刷はできるのにスキャンだけできません

スキャナーはパソコンからプリンターへ接続を開きにいく動作が入るため、印刷より通信の条件が厳しくなります。IPアドレスを固定したうえで、メーカー純正のスキャンソフトをスプリットトンネリングの除外に加えると通ることがあります。

まとめ

VPN中に家のプリンターやNASが見えなくなる原因は、経路・キルスイッチ・自動検出の3つに分かれます。どれもVPNの故障ではなく、設定で変えられる範囲の症状です。

直し方は、ローカルネットワーク許可・スプリットトンネリング・IPアドレス指定の3通りです。手間の少ない順に試して、通ったところで止めれば足ります。

そして、ローカル通信を許可した状態は場所を選びます。**自宅ではオン、公衆Wi-Fiではオフ。**この切り替えを前提に設定してください。

※料金・条件は執筆時点のものです。最新は各公式でご確認ください。

あわせて読みたい

参考にした情報

  • ExpressVPN 公式サポート「LANでイントラネット、プリンタ、共有ファイルを使用できない」(ローカルネットワークデバイスの許可・Network Lockの無効化・MacでのIP指定追加・最終確認日 2026-09-06)
  • Surfshark 公式「VPNスプリットトンネリングとは?」(Bypasserの対応プラットフォーム)/Surfshark 公式サイト(接続台数・30日間返金保証・最終確認日 2026-09-06)
  • NordVPN Customer Support「Staying invisible on unsafe local networks on macOS」(ローカルネットワーク上での可視性に関する説明・最終確認日 2026-09-06)
  • 広島大学 情報メディア教育研究センター FAQ「VPN接続時にローカルのネットワーク(プリンタ等)にアクセスできません」(最終確認日 2026-09-06)