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IP制限で自宅から社内システムに入れない|固定IP VPNの選び方

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最終確認日:2026-08-21

「会社では普通に使えている勤怠システムが、自宅のパソコンからだと画面すら開かない」「在宅勤務の日だけ、社内のクラウドサービスがエラーになる」——テレワークが当たり前になってから、この相談が増えました。

パスワードは合っている。ネットも繋がっている。なのに入れない。多くの場合、原因は**「IP制限(IPアドレス制限)」**という会社側のセキュリティ設定です。

そして大事な前提を先に書きます。これは「回避する」話ではありません。 IP制限は会社が意図してかけているものなので、勝手にすり抜けようとするのは就業規則違反やセキュリティ事故につながります。正しいゴールは、自分のアクセス元を会社に「正規に許可してもらえる形」に整えることです。

この記事では、①なぜ自宅からだと弾かれるのか、②取れる選択肢は3つしかないこと、③そのうち個人・小規模事業者が現実的に使える「固定IP付きVPN」の選び方と注意点、を順番に整理します。

なぜ自宅からだと社内システムに入れないのか

インターネットに繋がっている回線には、外から見える住所にあたるグローバルIPアドレスが割り当てられています。会社のオフィスからアクセスすれば「会社の回線のIP」、自宅からアクセスすれば「自宅の回線のIP」が相手のサーバーに伝わります。

IP制限とは、「このIPアドレスからのアクセスだけ受け付ける」という許可リスト(ホワイトリスト)を作っておく仕組みです。会社のオフィスのIPだけを登録しておけば、たとえIDとパスワードが漏れても、社外からはログイン画面にすらたどり着けません。シンプルなわりに効果が大きいので、勤怠管理・人事労務・営業管理といった業務クラウドでよく採用されています。

つまり、自宅から入れないのは故障でもパスワード間違いでもなく、設計どおりに動いているというのが実態です。

ここで問題になるのが、日本の一般的な家庭用回線の性質です。

  • 家庭用のインターネット回線は、動的グローバルIP(アクセスのたび、あるいは機器の再起動などのタイミングで変わるIP)が基本
  • 会社に「私の自宅のIPを登録してください」と伝えても、そのIPが翌週には別の値に変わっている可能性がある
  • スマホの回線やモバイルルーターは、さらにIPが頻繁に変わる

だから「自宅のIPを許可リストに入れてもらう」という単純な解決は、多くの家庭では成り立ちません。固定されたIPアドレスをどうやって用意するかが論点になります。

動く前に確認したい3つのこと

サービスを契約する前に、この3つを先に片付けてください。順番を飛ばすと、お金を払ってから「会社の方針で無理でした」となります。

1. 本当にIP制限が原因かを切り分ける

スマホの回線(テザリングやモバイルデータ)に切り替えて、同じサービスにアクセスしてみてください。自宅Wi-Fiでも4G/5G回線でも同じように弾かれるなら、IP制限の可能性が高いです。片方だけ通るなら、別の原因(社給端末の証明書、二要素認証、社内ネットワーク前提の設定など)を疑います。

2. 会社の方針を先に聞く

これが一番重要です。IP制限をどう運用しているかは会社ごとに違います。

  • 「在宅勤務者の固定IPは会社が用意する(会社契約のVPNに繋いでもらう)」
  • 「個人で取得した固定IPでも、申請すれば許可リストに登録する」
  • 「そもそも社外アクセスは認めない」

3つ目の方針の会社で個人が勝手に固定IPを用意しても、許可リストに載らないので1円も無駄になります。まず情報システム担当者・上長に「在宅から◯◯にアクセスしたい。IP制限の申請手続きはありますか」と聞くのが最短です。

3. 自分の今のグローバルIPを見ておく

ブラウザで「自分のIPアドレス 確認」と検索すると、現在のグローバルIPを表示してくれるサイトが出てきます。日をまたいで2〜3回見て、値が変わるかどうかを確認しておくと、「うちの回線は固定なのか動的なのか」の当たりがつきます。ごくまれに、契約内容によっては最初から固定に近い運用になっていることもあります。

選択肢は大きく3つ

会社が「個人で固定IPを用意してくれれば登録します」という方針だった場合、取れる手段は次の3つです。

IP制限 | 自宅からのアクセス

固定IPを用意する3つの方法

どれを選ぶかは「外出先でも使うか」「何人で使うか」で決まります

IPが変わらない外出先でも使える複数人・複数台で同時に
一般的なVPN(共有IP) NordVPN・MillenVPN等の通常プラン × 接続のたびIPが変わる アプリを入れるだけ 同時接続に対応が多い
固定IP付きVPN マイIP等・個人で契約できる 自分専用の固定IPを1個 回線を問わず同じIP × マイIPは同時接続に非対応
自宅回線の固定IPオプション プロバイダの追加サービス 回線自体に固定IPが付く × 自宅の回線からのみ 宅内の機器は同じIPになる
  • ※どの方法でも、取得した固定IPを勤務先の許可リストに登録してもらう手続きが別途必要です。
  • ※提供内容・料金・提供条件は変更されることがあります。申し込み前に各公式サイトで最新をご確認ください。

セキュリティくらべ

ポイントは、「よくあるVPN」では解決しないということです。ここを勘違いして契約してしまう人が多いので、次で理由を説明します。

なぜ普通のVPNではIP制限を通れないのか

NordVPNやMillenVPNのような一般向けVPNは、1つのサーバーのIPアドレスを大勢の利用者で共有する設計になっています。混ざることで個人が特定されにくくなる、というのが本来の狙いです。

この設計は匿名性には有利ですが、IP制限とは相性が悪くなります。

  • 接続するサーバーを変えればIPも変わる。同じサーバーを選んでも、割り当てが常に同じとは限らない
  • 仮に会社がそのIPを許可リストに入れたとしたら、そのVPNを使っている見ず知らずの他人も社内システムに到達できてしまう

2つ目は決定的で、まともな情報システム担当者なら、共有VPNのIPを許可リストに載せることはまず認めません。「VPNを入れれば会社のシステムに入れる」という理解は誤りだと考えてください。

なお、大手VPNの中には「専用IP(Dedicated IP)」という有料オプションを別途用意しているところもあります。ただし提供している国・在庫・料金は変動するため、日本のIPが必要な場合は申し込み前に必ず公式サイトで確認してください。

そもそも固定IPが要らない人も多い

念のため書いておくと、固定IPが必要なのはIP制限がかかっている場合や、外から自宅の機器に入りたい場合など、限られたケースです。

「カフェや出張先のWi-Fiでの通信を暗号化したい」「海外から日本のサービスを使いたい」といった目的なら、一般的なVPNのほうが速く、安く、台数も多く使えます。目的が違うだけで、優劣ではありません。自分がどちらなのか分からない場合は、固定IPが必要な人向けVPN選びで用途別に整理しています。

一般的なVPNを探している場合、国産で日本語サポートを重視するならこちらが選択肢になります。

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個人で固定IPを持つ現実的な選択肢:マイIP

会社が「個人取得の固定IPでも申請すれば登録する」という方針なら、法人契約なしで個人が申し込める固定IPサービスが候補になります。国内では、インターリンクのマイIPが代表的です。

VPNサーバー経由でインターネットに出ることで、自宅でも、出先のホテルでも、スマホのテザリングでも、常に同じグローバルIPアドレスから通信しているように見せるという仕組みです。回線そのものを変える必要がないため、引っ越しや回線の乗り換えがあっても同じIPを使い続けられるのが利点です。

公式サイトで確認できた内容は次のとおりです(最終確認日:2026-08-21)。

項目内容
マイIP初期費用0円/月額1,100円(税込)/固定IP 1個
マイIP ソフトイーサ版初期費用0円/月額1,320円(税込)×固定IP数/固定IP 1〜128個
無料体験最大2ヶ月の無料体験あり
対応OSWindows/macOS/iOS/Android/Linux ほか(版により対応範囲が異なる)
接続方式L2TP/IPsec など(OS標準のVPN設定から手動設定)

**必ず知っておくべき注意点が1つあります。**マイIPは公式のよくある質問で、複数の端末での同時接続に対応していない(先に接続した側が優先される)と案内されています。複数端末・複数人で同じ固定IPを同時に使いたい場合は、上位の「グループ専用VPN」を検討する必要があります。

つまり、**「自分1人が、1台の端末で、社内システムに入れれば十分」**という使い方に向いたサービスです。家族全員のスマホをまとめて守りたい、といった用途には向きません。

申し込みから実際に使えるまでの流れ

  1. 勤務先に申請の可否と手続きを確認する(ここが先。無料体験の期間内に確認を終えたい)
  2. サービスを申し込み、割り当てられた固定IPアドレスを控える
  3. パソコン・スマホのVPN設定に、案内されたサーバー情報を手動で登録する
  4. VPNに接続した状態で、IP確認サイトを開き、表示されるIPが割り当てられたものと一致するか確認
  5. そのIPアドレスを勤務先に伝え、許可リストに登録してもらう
  6. VPN接続した状態で、目的の社内システムにアクセスできるか確認

**4番を飛ばさないでください。**設定ミスでVPNを経由できていないまま「繋がらない」と会社に問い合わせる、というのがいちばんありがちな遠回りです。

契約前に確認したい5つのチェック

固定IPサービスは、一般的なVPNとは見るべき点が違います。速度やサーバー数を比べても意味がありません。

  1. IPは本当に固定か、共有ではないか:「専用」「静的(static)」の記載を確認する。共有IPでは許可リストに載せられません
  2. 日本のIPアドレスか:社内システムの許可リストに載せるなら、国内IPであることが前提になります
  3. 同時に何台使えるか:1台だけでよいのか、PCとスマホの両方が必要なのか。マイIPは同時接続に非対応です
  4. 解約の条件と、無料体験の範囲:体験期間中に会社の申請が通るとは限りません。通らなかった時にすぐ止められるかを確認します
  5. IPアドレスが将来変わる可能性:事業者側の都合でIPが変更されることはあり得ます。変更時の通知方法と、会社への再申請の手間を見ておきます

そして繰り返しになりますが、5つ全部より優先されるのが「会社が認めているか」です。

よくある質問

Q. IP制限を自分で回避してもいいですか? やめてください。IP制限は会社が意図してかけているものです。抜け道を探す行為は就業規則違反になり得ますし、万一情報漏えいが起きた時に責任を問われる立場になります。必ず勤務先の許可を得たうえで、正規の手続きとして固定IPを登録してもらってください。

Q. 会社が「VPNを使え」と言っています。これと同じですか? 別物である可能性が高いです。会社が指す「VPN」は、多くの場合会社が契約・管理しているリモートアクセスVPNで、接続先も認証も会社が用意します。その場合、個人でサービスを契約する必要はありません。まず会社の案内に従ってください。

Q. 自宅の回線に固定IPオプションを付けるのとどちらがいいですか? 自宅からしか使わないなら、回線の固定IPオプションでも要件は満たせます(提供の有無・料金はプロバイダによります)。ただし外出先や出張先では使えません。在宅と外出が混ざる働き方なら、回線に依存しない固定IP付きVPNのほうが扱いやすくなります。

Q. 固定IPにすると危険はありませんか? 「常に同じIPで通信する」ということは、そのIPが自分と結びつきやすくなるということでもあります。匿名性を高めたい用途とは正反対の性質です。目的が「会社に許可してもらう」ことなら問題ありませんが、匿名性目的で選ぶサービスではない、と理解しておいてください。

Q. スマホだけで社内システムに入れますか? OSがVPNの手動設定に対応していれば技術的には可能です。ただし**会社が端末そのものを制限している場合(社給端末のみ許可、MDM必須など)は、IPを合わせても入れません。**この点も事前確認の対象です。

こんな人におすすめ

  • 在宅勤務の日だけ社内システムに入れない会社員:まず情シスに申請手続きを確認。「個人取得の固定IPでも可」なら、マイIPのような個人契約できる固定IPサービスが現実的です
  • 取引先のシステムにIP制限がある個人事業主・フリーランス:自分が窓口なので判断は早いはずです。相手先に「固定IPを取得するので許可リストに登録してほしい」と先に打診してください
  • 少人数の会社で、複数人が同じ固定IPを使いたい:マイIPの通常版では同時接続できません。ソフトイーサ版やグループ向けの構成、あるいは会社としてのリモートアクセス環境の整備を検討する段階です。社内の共有まわりは個人事業・少人数チームのパスワード共有も合わせて見直すと効果が出ます
  • そもそもIP制限が原因か分からない人:契約より先に、テザリングでの切り分けと情シスへの質問を。ここで解決するケースも珍しくありません

まとめ

自宅から社内システムに入れない時、やることの順番はこうです。

  1. 切り分ける:スマホ回線でも同じか。IP制限が原因かを確かめる
  2. 聞く:勤務先にIP制限の申請手続きがあるかを確認する。ここが最重要で、飛ばすと出費が無駄になります
  3. 選ぶ:会社が個人取得を認めるなら、固定IP付きVPN(外出先でも使う人向け)か、回線の固定IPオプション(自宅だけの人向け)を選ぶ
  4. 確かめる:接続後にIP確認サイトで実際のIPを見てから、会社に登録を依頼する

セキュリティに「これをやれば100%安全」という設定はありませんし、IP制限も万能ではありません。ただ、**仕組みを理解して正規の手続きで通せば、在宅勤務のたびに困ることはなくなります。**慌てて手当たり次第にVPNを契約する前に、まず2番目の「聞く」から始めてください。


※料金・条件は執筆時点のものです。最新は各公式でご確認ください。

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参考にした情報

  • インターリンク「マイIP」公式サービスページおよび料金ページ(月額・初期費用・無料体験・対応OS。2026-08-21確認)
  • インターリンク公式FAQ「マイIPは複数人で同時に利用できますか?」(同時接続の可否・グループ専用VPNの案内)
  • 各VPN公式および国内解説メディアによる、共有IPと専用IP(Dedicated IP)の違いに関する解説