VPNのIP・DNS漏れを確認する方法と直す手順
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VPNアプリの画面に「接続済み」と緑のマークが出ている。それなのに、海外の動画サービスから日本にいると判定される。あるいは、なんとなく「本当に隠れているのだろうか」という不安が残っている——。
VPNは、つないだ瞬間にすべての通信がきれいにトンネルへ入るとは限りません。アプリの表示が「接続済み」でも、一部の通信だけがトンネルの外を通ってしまうことがあります。 これがいわゆる「漏れ(リーク)」です。
ただし、これは怖がる話ではなく、5〜10分あれば自分で確認できる話です。この記事では、脅すのではなく「点検のやり方」を書きます。何が漏れうるのか、どう調べるのか、漏れていたらどう直すのか、そして直らないときにどんなVPNへ乗り換えれば良いのかまでを一本にまとめました。
まず結論:見るのは3か所、直し方は結果で変わる
先に全体像を書きます。
- 確認すべきは「IPアドレス」「DNS」「WebRTC」の3か所です。この3つは漏れる仕組みが別なので、1つ大丈夫でも他が漏れていることがあります。
- 判定は簡単です。 VPNをオフにしたときとオンにしたときで、表示される値が変わっていなければ、そこが漏れています。
- 多くの場合、設定の変更だけで直ります。 ブラウザの設定、VPNアプリのオプション、IPv6の扱い。買い替えが必要になるのは、それでも直らなかったときだけです。
- セキュリティに「絶対」はありません。**「一度設定したから安心」ではなく「たまに自分で確認する」**という付き合い方が現実的です。
以下、順番に見ていきます。
そもそも「漏れる」とは何が漏れているのか
VPNを使う目的はだいたい2つに整理できます。「接続元がどこかを相手のサイトに知られたくない」か、「どのサイトを見たかを通信事業者(ISP)や同じWi-Fiの人に知られたくない」か。漏れの経路は、この2つのどちらかを壊します。
経路1:IPアドレスの漏れ(接続が切れた瞬間)
一番わかりやすいのがこれです。VPNの接続がなんらかの理由で一瞬切れると、通信は普通の回線に戻ります。このとき、アクセス先のサイトには契約している回線の本当のIPアドレスが渡ります。IPアドレスからは、おおよその地域と利用している通信事業者が推測できます。
「一瞬なら大丈夫では」と思うかもしれませんが、スマホアプリや常時通信するソフトはバックグラウンドで通信を続けているため、その一瞬に通信してしまうことがあります。これを防ぐ機能がキルスイッチ(VPNが切れたら通信そのものを止める機能)です。
経路2:DNSの漏れ
DNSは、サイト名(例:example.com)を数字のアドレスに変換する仕組みです。ここが漏れると「見たサイトの名前」が通信事業者側に残ります。 通信の中身は暗号化されていても、「どこへ行ったか」の記録だけ外に出てしまう状態です。
VPNは本来、DNSの問い合わせもトンネルの中を通し、VPN事業者側のDNSサーバーで処理します。ところが、端末やルーターに手動でDNSサーバーを設定していたり、OSが「速いほうを優先する」動きをしたりすると、問い合わせだけが外に出ることがあります。
経路3:WebRTCの漏れ(ブラウザ経由)
WebRTCは、ブラウザだけでビデオ通話や画面共有ができるようにする仕組みです。便利な反面、接続相手を見つけるためにブラウザが自分のIPアドレスを調べて外に伝えるという動きをします。この問い合わせがVPNのトンネルを経由せず直接出てしまうと、サイト側のスクリプトから本当のIPアドレスが読み取られる場合があります。
やっかいなのは、これはVPNアプリの外側(ブラウザの中)で起きるという点です。VPN側が正しく動いていても、ブラウザ設定の問題として残ることがあります。
おまけ:IPv6の取り扱い
新しい形式のアドレス(IPv6)に対応していない、あるいは扱いが中途半端なVPNだと、IPv4の通信だけがトンネルに入り、IPv6の通信は素通りする、という状態が起こりえます。対策としては、VPN側でIPv6を遮断するか、IPv6に対応している製品を使うかのどちらかになります。なお、IPv6を無効化するのは「漏れが確認できたとき」の対処であって、何もないうちから切って回るものではありません(速度や対応サービスに影響することがあります)。
VPN | 漏れの3経路
漏れる場所によって、バレるものも直し方も違う
1つ大丈夫でも他が漏れていることがあります
| 相手に伝わってしまうもの | 自分の設定だけで直せるか | VPN側の機能で防げるか | |
|---|---|---|---|
| IPアドレスの漏れ 接続が切れた瞬間 | × 接続元のおおよその地域と回線事業者 | △ 再接続すれば止まるが再発しうる | ○ キルスイッチで通信を遮断できる |
| DNSの漏れ 見たサイト名が外に出る | × アクセスしたサイトの名前 | △ 手動DNS設定の解除などが必要 | ○ 自社DNSを使う製品なら防ぎやすい |
| WebRTCの漏れ ブラウザの中で起きる | × ブラウザが把握しているIPアドレス | ○ ブラウザ設定・拡張機能で止められる | △ 対応の有無・名称は製品ごとに異なる |
- ※「絶対に漏れない」構成は存在しません。定期的に自分で確認するのが現実的な対策です。
- ※機能の名称・有無は製品によって異なります。最新は各公式サイトでご確認ください。
セキュリティくらべ
10分でできる自己点検の手順
道具は不要です。ブラウザだけで完結します。大事なのは「VPNオフの値」を先に控えておくことです。比べる相手がないと、漏れているかどうか判断できません。
手順1:VPNをオフにして、素の値をメモする
VPNを切った状態で、IPアドレス確認サイト(「確認くん」などの日本語サイトでも構いません)とDNS確認サイト(dnsleaktest.com など)を開き、次の3つを控えます。
- 表示されたIPアドレスと地域
- DNSサーバーの事業者名(契約している回線事業者の名前が出るはずです)
- WebRTC欄に表示されるIPアドレス(browserleaks.com/webrtc などで確認できます)
この3つが「隠したい値」です。 スクリーンショットを撮っておくと後で比べやすくなります。
手順2:VPNをオンにして、同じ3つをもう一度見る
VPNアプリを接続し、ページを再読み込みして同じ項目を見ます。判定はシンプルです。
- IPアドレスが手順1と同じなら、そもそもトンネルを通っていません(アプリ側の接続失敗を疑います)。
- DNSサーバーに契約している回線事業者の名前が出るなら、DNSが漏れています。
- WebRTC欄に手順1で控えた本当のIPアドレスが出るなら、WebRTCが漏れています。
ここで「変わっていればOK」と単純に判断せず、手順1のメモと1つずつ照合するのがコツです。地域だけ見て安心すると、DNSだけ漏れている状態を見逃します。
手順3:拡張テストと、切断時の挙動も見る
DNSの確認サイトには「Extended Test(拡張テスト)」がある場合があります。簡易テストでは1〜2件しか出ないため、拡張テストで複数のDNSサーバーがすべてVPN側になっているかまで見ると精度が上がります。
もう1つ、キルスイッチを使っているならわざと切ってみるのが確実です。機内モードを一瞬入れる、あるいはVPNアプリから切断ボタンを押した直後にIPアドレス確認サイトを再読み込みして、ページが読み込めなければ(=通信が止まっていれば)キルスイッチが効いています。普通に読み込めてしまうなら、その設定は効いていません。
手順4:ブラウザを変えてもう一度
WebRTCの漏れはブラウザごとに結果が変わります。普段使いのブラウザで漏れていても、別のブラウザでは漏れていないことがあります。逆も然りです。「主に使っているブラウザ」で必ず確認してください。
結果別・直し方
IPアドレスがVPNオフのときと同じだった
トンネルに入っていない状態です。まずアプリを接続し直し、それでも変わらなければプロトコルを変更します(WireGuard系とOpenVPN系を切り替える)。職場のネットワークや一部のホテル回線では、特定の通信方式が遮断されていることがあります。
DNSに回線事業者の名前が出た
確認する順番は次のとおりです。
- 端末やルーターに手動でDNSを設定していないか(公共DNSに変更した記憶があるなら、いったん自動に戻す)
- VPNアプリ側に「独自DNSを使う」「DNSリーク保護」に相当する項目がないか(あれば有効化)
- スマホなら、OSの「プライベートDNS」設定が別のサーバーを向いていないか
多くの場合、1か2で解決します。VPN事業者が自社のDNSサーバーを全サーバーで運用しているかどうかは、この漏れの起きにくさに直結します。
WebRTCに本当のIPアドレスが出た
これはブラウザ側の対処が中心になります。
- Firefox:アドレス欄に about:config と入力し、media.peerconnection.enabled を false にする
- Chrome / Edge:WebRTCの通信経路を制限する拡張機能を入れる(広告ブロッカーにオプションとして含まれている場合もあります)
- Brave:シールド設定で非プロキシUDPを無効にする
- VPNアプリにブラウザ拡張機能が用意されている場合、そちらにWebRTC対策が含まれていることがあります
ビデオ会議をブラウザで行っている人がWebRTCを完全に無効化すると、会議に参加できなくなることがあります。**「普段使いのブラウザは対策あり、会議用は別ブラウザ」**という分け方が現実的です。
IPv6のアドレスが表示された
VPNアプリに「IPv6リーク保護」に相当する設定があれば有効にします。無ければ、その端末でIPv6を無効化するか、IPv6の扱いを公式に説明している製品へ乗り換えるかの判断になります。
漏れにくいVPNを選ぶときに見る4点
ここまでやっても直らない場合や、そもそも点検のたびに手作業が増えるのが面倒な場合は、製品側で吸収してもらう選択になります。見るべきは次の4点です。
- 自社のDNSサーバーを全サーバーで運用しているか(外部のDNSに投げていないか)
- キルスイッチがあり、実際に効くか(前述の手順3で必ず自分で確認する)
- IPv6の扱いを明示しているか(遮断するのか、対応するのか)
- 検証のための材料を公開しているか(第三者監査、リークテストツールなど)
4番目は見落とされがちですが、「うちは漏れません」と書いてあることより、「こうやって確かめてください」と道具を出していることのほうが、利用者にとっては価値があります。 言い切りは検証できませんが、道具は検証できるからです。
このサイトで「ノーログ」を扱った記事でも同じ結論になりました。主張ではなく、確かめられる材料があるかで選ぶという考え方です。
検証材料を公開している例:ExpressVPN
ExpressVPNは、IPアドレス・DNS・WebRTCなどの漏れを調べるためのリークテストツールを、親会社(Digital Security Lab)が公開しています。 自社製品だけでなく、他社のVPNを使っている人でも検証に使えるものです。また、全サーバーで自社のプライベートDNSを運用していると案内しています。返金保証は30日間です(最終確認日:2026-08-31。条件・期間は変更される場合があるため、申し込み前に公式でご確認ください)。
価格帯としては安いほうではありません。「安さより、自分で確かめられることを優先したい」人に向く選び方です。逆に、月々の支出を最優先にしたい人には次に紹介する国産サービスのほうが合います。
別の選択肢:日本語で問い合わせたい人向け
漏れの調査は、どうしても専門用語が出てきます。「英語のサポートに事情を説明する自信がない」という理由で乗り換えをためらうなら、国産サービスという選択肢があります。MillenVPNは日本語サポートで、30日間の返金保証が案内されています。ただし返金保証の対象はサブスクプラン(年単位の契約)で、7日間・15日間・30日間といったワンタイムプランは対象外とされている点に注意してください(最終確認日:2026-08-31。条件は公式でご確認ください)。
「短期プランで試してから返金してもらう」という使い方はできない、ということです。ここを勘違いすると、あとで返金を受けられません。
よくある質問
Q. VPNアプリが「接続済み」と表示していれば大丈夫ではないのですか。 A. 「接続済み」はトンネルが張れたことを示す表示で、すべての通信がその中を通っている保証ではありません。 特にDNSとWebRTCはアプリの表示と別に動くため、確認サイトで実際の値を見るのが確実です。
Q. 点検はどのくらいの頻度でやればいいですか。 A. 決まりはありませんが、OSやブラウザの大きな更新のあと、VPNアプリを入れ替えたとき、接続先の国を変えたときの3タイミングで見ておくと変化に気づきやすくなります。慣れれば5分程度で終わります。
Q. 漏れていたら、これまでの通信もすべて見られていたということですか。 A. 経路によって意味が違います。DNSの漏れは「見たサイト名が回線事業者側の記録に残りうる」という話で、通信の中身が読まれたという意味ではありません。過度に不安になる必要はありませんが、放置する理由もない、という位置づけです。
Q. 無料VPNでも同じ確認方法が使えますか。 A. 手順は同じです。ただし無料サービスは収益の作り方が有料と異なるため、確認以前に検討したい点があります。
こんな人におすすめ、という整理
- とりあえず全員:手順1〜2だけでもやる価値があります。10分かかりません。
- 海外から日本のサービスを使う人:地域判定がうまくいかない原因が、DNSの漏れであることは珍しくありません。
- 公共Wi-Fiをよく使う人:キルスイッチが実際に効くかの確認(手順3)を優先してください。
- ブラウザで仕事をする人:WebRTCはブラウザごとに結果が変わります。仕事用ブラウザで必ず確認を。
漏れの確認は、VPNを疑うための作業ではなく、自分の環境を把握するための作業です。 一度やり方を覚えてしまえば、製品を乗り換えたときにも同じ手順がそのまま使えます。
※料金・条件は執筆時点のものです。最新は各公式でご確認ください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- ExpressVPN「Leak-Testing Tools(Digital Security Lab)」および機能ページ(リークテストツールの公開、全サーバーでの自社プライベートDNS運用、30日間返金保証/最終確認日:2026-08-31)
- MillenVPN の返金保証に関する各解説(30日間返金保証、対象はサブスクプランでワンタイムプランは対象外/最終確認日:2026-08-31。条件は公式でご確認ください)
- NordVPN 公式ブログ「Windows、Mac、AndroidでのIPv6の無効化/有効化の方法」(IPv6の扱いと無効化の考え方)