離れて暮らす親のパソコンのセキュリティ|設定とソフトの選び方
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最終確認日:2026-07-27
実家に帰るたびに、親のパソコンの設定を直している。電話で「変な画面が出た」と言われて、口頭で説明しようとして詰まる。——離れて暮らす親のパソコンは、そばで見てあげられないぶん、どこから手を付ければいいのか分かりにくいところです。
先に結論を書きます。
- 優先すべきは「ウイルス対策」より「サポート詐欺(偽警告)への備え」です。 いま実際に起きやすいのはこちらで、しかも対策ソフトだけでは止めきれません。
- 効くことの多くは無料です。 更新の自動化、ブラウザの通知設定、そして「電話番号が出たら詐欺」という家族の合言葉。ここまでで大半の場面をカバーできます。
- 見落としやすいのが「ライセンスの範囲」です。 自分が契約している複数台版を実家の親の端末に入れるのは、製品によっては規約の想定外になります。ここは後半で実際の記載を引用します。
セキュリティに「絶対」はありません。この記事は「これを入れれば100%防げる」という書き方はしません。親を怖がらせずに、続けられる形で守ることを基準に並べていきます。
まず、いま何が起きやすいのか
親のパソコンというと「ウイルスに感染したらどうしよう」と考えがちですが、実際に相談が増えているのは**偽のセキュリティ警告を使った詐欺(サポート詐欺)**のほうです。
IPA(情報処理推進機構)のサイバーセキュリティ相談窓口に寄せられた2026年第2四半期(4〜6月)の相談は全体で302件、そのうちサポート詐欺が68件でした。前四半期(1〜3月)の41件から増えています(IPA公式サイト・最終確認日:2026-07-27)。これは相談の集計であって被害の全体数ではありませんが、いま何が起きているかの傾向としては参考になります。
手口は次のようなものです。ネットを見ている最中に、突然「ウイルスに感染しました」という警告が画面いっぱいに表示される。警告音が鳴る。マウスで閉じようとしても閉じられない。画面にはサポートの電話番号が書いてある——。
ここで大事なのは、IPAが明言している次の点です。
画面が表示されただけであれば、パソコンはコンピュータウイルスには感染していない
つまり、あの画面はウェブサイトの表示にすぎないことがほとんどです。感染して壊れたわけではないので、落ち着いてブラウザを閉じれば済みます。にもかかわらず被害が出るのは、驚いて電話をかけてしまい、遠隔操作ソフトを自分でインストールし、料金を支払ってしまうからです。
だから、親のパソコンの守り方は「ウイルスを止める」より先に、驚いたときに電話をかけさせない設計になります。ここが出発点です。
フィッシングメールとの見分け方はフィッシング詐欺の見分け方|個人ができる対策にまとめています。あわせて親に共有しておくと効きます。
実家に行かずにできる、無料の下ごしらえ
次の帰省まで待たなくても、電話ごしや、次に会ったときの30分でできることを挙げます。すべて無料で、効果は大きい順に並べました。
1. 「電話番号が出たら詐欺」を合言葉にする
いちばん効くのに、いちばん軽視されている対策です。技術ではなく、決めごとです。
- 画面に電話番号が出た時点で、それは詐欺(マイクロソフトもセキュリティ会社も、警告画面に電話番号を出して連絡させる方式は取っていません)
- その番号には絶対にかけない
- 困ったら、まず自分(子ども側)に電話する
この3行を紙に書いて、パソコンの横に貼っておいてもらうのが確実です。親が高齢の場合、画面上のメモより物理的な紙のほうが機能します。
2. 偽警告の閉じ方を、事前に一度だけ練習してもらう
IPAは、偽警告が出たときの閉じ方として次を案内しています(IPA公式サイト・最終確認日:2026-07-27)。
- 「ESCキー」を長押しすると閉じるボタンが現れるので、それでブラウザを閉じる
- 現れない場合は、偽の警告画面内を一度マウスでクリックしてから、もう一度ESCキーを長押しする
- タブレットの場合は、ロングタップで表示される×印をタップする
IPAは「偽セキュリティ警告体験サイト」という練習用のページも公開しています。本物そっくりの画面を安全に体験できるので、一度一緒にやってみると、実際に出たときの動揺がかなり減ります。口で説明するより、1回やってもらうほうが早いです。
3. Windowsの更新を自動のままにしておく
「更新すると重くなるから止めている」というケースが実家では珍しくありません。ですが、修正プログラムが当たっていない状態は、対策ソフトの有無に関係なく穴が開いたままになります。自動更新はオンのままにしておいてください。
パソコンが古くて更新のたびに動かなくなる、という状況なら、それはセキュリティではなく買い替えの検討時期という話になります。
4. ブラウザの「通知の許可」を見直す
見落とされがちですが、偽警告の入り口としてブラウザの通知が使われることがあります。過去にどこかのサイトで「通知を許可」を押していると、パソコンの右下に警告風のポップアップが出続けることになります。
ChromeやEdgeの設定から「通知」を開き、心当たりのないサイトの許可をすべて削除しておきます。以後は「通知を許可しますか」に対して原則「ブロック」で問題ありません。
5. Windowsの標準機能がオンになっているか確認する
Windowsには、危険なサイトやファイルを警告するMicrosoft Defender SmartScreenが標準で入っています。既知の詐欺サイトのブロックにも使われる機能です。Microsoft EdgeやWindowsセキュリティの設定でオンになっているかを一度確認しておきます(Microsoft公式ドキュメント・最終確認日:2026-07-27)。
無料でここまでやっておくと、残るのは「それでもすり抜けたとき」の話になります。有料ソフトの検討はその次です。
対策ソフトを親の分どうするか——「同一世帯」の壁
さて、ここからが本題です。「自分は5台まで使えるセキュリティソフトを契約しているから、余っている枠を実家の親のパソコンに入れよう」——これ、実は製品によって扱いが分かれます。
実際の記載を見てみます。
**ウイルスバスター(トレンドマイクロ)**は、サポートページで利用範囲をこう説明しています。
同一個人または同一世帯内であれば利用可能な台数分、複数の端末(PC、スマホ、タブレットなど)で利用できます
台数は製品ごとに決まっており、ウイルスバスター クラウドが3台、トータルセキュリティが6台と案内されています(トレンドマイクロ サポートページ・最終確認日:2026-07-27)。ここで注目したいのは台数ではなく、「同一世帯内」という条件のほうです。別居している親の端末について、このページでは明示されていません。
一方、ESETは、公式のライセンスカウント説明ページで「家族・友人と分け合ってムダなく使える」と案内しており、購入した台数分を複数の端末に分けて使える旨が図解されています(キヤノン公式サイト・最終確認日:2026-07-27)。
ノートンは、プランごとの保護台数を公式で明示しています(スタンダード1台、デラックス3台、プレミアム5台)。また、年間ライセンスは初回購入から60日以内なら全額返金の対象になると案内されています(ノートン公式サイト・最終確認日:2026-07-27)。別居家族の扱いについては、本記事の確認時点で公式ページ上の明確な記載を確認できませんでした。
まとめると、「複数台版だから離れた親の分も入れていい」とは限らないということです。ここは製品ごとに条件が違うので、契約前に規約を見るか、サポートに聞くのが確実です。
親のパソコン | 守り方の選択肢
離れて暮らす親のPCを守る3つのやり方
費用だけで決めると、規約とサポートのしやすさで詰まります
| 費用 | ライセンス規約の面 | 面倒を見るときのやりやすさ | |
|---|---|---|---|
| Windows標準機能のままにする 追加契約なし | ○ 追加費用がかからない | ○ 契約自体がないので問題にならない | △ 困ったときの相談窓口は自分だけになる |
| 親の名義で別に契約する 実家用に1契約 | △ 契約が2本分になる | ○ 利用者と世帯が一致するので迷いがない | ○ 日本語サポート窓口に親自身が相談できる |
| 自分の複数台ライセンスを分ける 余っている枠を使う | ○ 1契約で済むので費用を抑えられる | △ 「同一世帯内」等の条件がある製品がある | △ 更新・トラブル対応の窓口役を自分が担う |
- ※ウイルスバスターのサポートページには「同一個人または同一世帯内であれば利用可能な台数分」と記載があります(最終確認日:2026-07-27)。ESETの公式ページには「家族・友人と分け合ってムダなく使える」との案内があります(同日確認)。
- ※利用条件は製品・プラン・改定によって変わります。上表は各社の公開情報にもとづく整理であり、個別の可否は必ず購入前に公式規約またはサポート窓口でご確認ください。
- ※どの選択肢でも被害をゼロにできるという意味ではありません。更新の自動化と「電話しない」の取り決めが前提です。
セキュリティくらべ
費用だけを見れば3つ目が有利ですが、離れて暮らす親の場合、2つ目(親名義で別契約)にも実利があります。 親が自分で日本語サポートに電話できる状態にしておくと、こちらの負担が減るからです。「安く済ませる」より「自分が毎回呼び出されない」を基準にすると、判断しやすくなります。
有料を足すなら|親のパソコン向けの選び方
無料の下ごしらえを済ませたうえで、それでも有料製品を足す理由は主に次の3つです。
- 詐欺サイトのブロック機能がほしい(標準機能に上乗せする形になります)
- 日本語の問い合わせ窓口を、親自身が使える状態にしたい
- パソコンとスマホをまとめて同じ方針でそろえたい
逆に、「更新もこまめに当たっていて、ネットは限られたサイトしか見ない」という状況なら、標準機能のままでも大きく外してはいません。ここは正直に書いておきます。判断の基準そのものはウイルス対策ソフトの選び方|初心者が失敗しない7つの基準にまとめています。
以下は公式情報にもとづく紹介で、当サイトで全製品を実契約して検証したものではありません。料金は改定されやすいため金額は書きません(最終確認日:2026-07-27)。
実家のパソコンが古い場合:ESET
実家のパソコンは、買ってから何年も経っていることが多いものです。対策ソフトを入れて動作が重くなると、親自身が「邪魔だから」と切ってしまい、結局守られなくなります。ESETは動作の軽さを特長として案内してきた製品で、古めの端末に入れる候補になります。前述のとおり、公式ページで家族と分け合って使える旨が案内されている点も、実家の分を考えるときに確認しやすいところです(最終確認日:2026-07-27)。
「前に対策ソフトを入れたら遅くなってやめた」という家に向きます。
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親自身が日本語で相談できるようにしたい場合:ウイルスバスター
トレンドマイクロの製品で、日本語のサポート体制と、詐欺サイト・迷惑メール対策などの周辺機能が案内されています。この記事で見てきたとおり、実家で起きやすいのはサポート詐欺やフィッシングです。そこを補う機能と、親が自分でかけられる窓口があるかは、有料を選ぶ実質的な理由になります(対応台数・利用条件は公式でご確認ください/最終確認日:2026-07-27)。
「自分がすぐに電話に出られないことがある」人に向きます。
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まず試して、合わなければ戻したい場合:ノートン
プランごとの保護台数が公式に明示されており(スタンダード1台/デラックス3台/プレミアム5台)、年間ライセンスは初回購入から60日以内であれば全額返金の対象になると案内されています(ノートン公式サイト・最終確認日:2026-07-27)。実家のパソコンに入れてみて、動作が重い・親が使いこなせないと分かった場合に引き返しやすいのは、遠隔で面倒を見る立場では地味に効きます。
「入れてみないと分からないので、まず試したい」人に向きます。
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なお、対策ソフトは1台につき1つにしてください。2つ入れると互いに干渉して、両方の保護がうまく働かないことがあります。実家のパソコンは購入時のプリインストール版が期限切れのまま残っていることが多いので、新しく入れる前に古いものを削除しておきます。「入れているのに効かない」状態の理由はウイルス対策ソフトを入れているのに感染するのはなぜで整理しています。
遠隔で画面を見てあげる方法と、その注意点
電話で「左上の青いボタンを押して」と説明するより、画面を見たほうが早いことがあります。Windowsにはクイックアシストという遠隔サポート機能が標準で入っており、支援する側に表示される6桁のコードを親に伝えて入力してもらうと、画面の共有や操作ができます(Microsoft公式ドキュメント・最終確認日:2026-07-27)。追加のソフトを買う必要はありません。
ただし、ここには注意点があります。遠隔操作の仕組みそのものが、サポート詐欺で悪用される代表格だからです。詐欺の電話をかけてしまった人は、まさにこの種のソフトを自分でインストールして操作を許してしまいます。
そこで、家族のルールに1行足しておきます。
- 遠隔で操作していいのは、こちら(家族)から電話をかけたときだけ
- 画面に出た番号にかけて、相手に言われて操作を許すのは絶対にしない
「遠隔操作=危険」と教えると、いざ自分が助けたいときに使えなくなります。誰から始まった連絡かで線を引くのが、実用的な教え方です。
よくある質問(FAQ)
Q. 親のパソコンに変な画面が出た、と電話がありました。まず何と言えばいいですか? A. 「感染していないから大丈夫」と最初に伝えてください。そのうえで、ESCキーの長押しでブラウザを閉じてもらいます。閉じられれば、それで終わりのケースがほとんどです。表示されていた電話番号にかけていないかだけ、必ず確認してください。
Q. すでに電話をかけて、遠隔操作を許してしまったようです。 A. まずパソコンをネットワークから切り離します(Wi-Fiを切る、LANケーブルを抜く)。そのうえで、入れさせられたソフトの削除、パスワードの変更、支払ってしまった場合はカード会社・銀行への連絡を進めます。ここは自己判断で長く悩まず、IPAの相談窓口や消費生活センターに相談するのが早いです。
Q. 自分の5台版ライセンスを実家に入れるのは違反になりますか? A. 製品によります。本記事の確認時点で、ウイルスバスターのサポートページには「同一個人または同一世帯内」と記載があり、ESETの公式ページには家族・友人と分け合える旨の案内があります。同じ「複数台版」でも条件が違うので、契約している製品の規約を確認してください(最終確認日:2026-07-27)。
Q. 親のスマホはどうすればいいですか? A. パソコンと同じで、まず「知らない番号にかけない・SMSのリンクから重要サイトに入らない」の取り決めが先です。端末を失くしたときの備えはスマホ紛失・盗難の対策|今すぐやる事前設定にまとめています。
Q. 実家のパソコンが古すぎて更新も止まっています。 A. サポートが終了したWindowsを使い続けるのは、どの対策ソフトを入れても埋めきれない部分が残ります。対策ソフトを買う前に、買い替えを検討したほうが結果的に安く済むことがあります。
こんな人におすすめ
- 実家の親のパソコンを、帰省のたびに直している人
- 「変な画面が出た」という電話を受けたことがあり、次に備えたい人
- 自分の複数台ライセンスを親の分に回していいのか、判断がつかない人
- 高価な製品を勧めるより先に、無料でできることを一通り済ませたい人
まとめると、順番はこうなります。①「電話番号が出たら詐欺」の合言葉 → ②閉じ方の練習 → ③更新とブラウザ通知の見直し → ④必要なら対策ソフト。①〜③は無料で、④より効きます。④を検討する段階になったら、規約の範囲と、親自身がサポートに相談できるかを基準に選んでください。
上のいずれかで迷ったら、返金保証の期間内に試して合わなければ戻す、という進め方が現実的です。
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※料金・条件は執筆時点のものです。最新は各公式でご確認ください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- IPA「サイバーセキュリティ相談窓口の相談状況[2026年第2四半期(4月〜6月)]」(相談件数)
- IPA「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ」(画面の閉じ方・体験サイト)
- トレンドマイクロ サポート「ウイルスバスターのライセンスは何台までインストールできますか」(利用範囲・台数)
- キヤノン「ESET HOME セキュリティ ライセンスカウント方法」(家族と分け合える旨)
- ノートン公式「ノートン 360」製品ページ(プラン別台数・60日間の返金)
- Microsoft Learn「Microsoft Defender SmartScreen の概要」「クイック アシストを使用してユーザーを支援する」