スマート家電やテレビはどう守る?ソフトが入らない機器の対策
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最終確認日:2026-07-28
パソコンとスマホにはセキュリティソフトを入れた。でも家の中を見回すと、ネットにつながっている機器はそれだけではありません。テレビ、Fire TV、ゲーム機、スマートスピーカー、ロボット掃除機、ネットワークカメラ、プリンター、NAS——これらには、そもそもセキュリティソフトを入れられません。
先に結論を書きます。
- ソフトが入らない機器は「機器の中で守る」ことをあきらめ、「ネットワークの側で守る」に切り替えます。 発想を変えるだけで、やることはかなりシンプルになります。
- 今日から無料でできることが、実は一番効きます。 初期パスワードの変更、自動更新のオン、外からのアクセスをオフ。この3つです。
- お金をかける対策は、その後です。 家庭内の全機器をまとめて守る専用機器という選択肢は、いま新規では選びにくくなっています(後述)。
- ただし、これをやれば安全になる、という話ではありません。 IoT機器のセキュリティは機種ごとの作り込みに依存する部分が大きく、利用者側でできることには限界があります。そのうえで「割に合う対策」を選ぶ、という記事です。
過度に怖がらせるつもりはありません。実際、一般家庭のスマートスピーカーが狙い撃ちされる、という話は現実的ではないからです。問題はもっと地味で、**「乗っ取られても気づけない」「気づいた時には他人の攻撃の踏み台にされている」**という形で起こります。
なぜ「ソフトが入らない機器」が弱点になるのか
理由は3つあります。
1. 中身は小さなコンピューターなのに、画面も設定項目もない
スマートテレビやネットワークカメラの中では、パソコンと同系統のOSが動いています。つまり脆弱性(プログラムの欠陥)は同じように見つかります。 ところがパソコンと違い、更新が来ていることを知らせる画面もなければ、対策ソフトを追加する仕組みもありません。持ち主が気づく手段がほとんどない、というのが弱点の本質です。
2. 初期パスワードのまま使われがち
ネットワークカメラやルーターは、購入時のIDとパスワードが取扱説明書に書かれた共通のものになっていることがあります。それを変えずに外から接続できる状態にすると、総当たりで入られます。 政府広報オンラインも、ウェブカメラやルーターが乗っ取られ、サイバー攻撃の踏み台に悪用されたり情報を盗まれたりするおそれがあるとして、利用者側の対策を呼びかけています(政府広報オンライン・最終確認日:2026-07-28)。
3. 被害が「自分の損」として現れにくい
パソコンがランサムウェアにやられれば、すぐ分かります。しかしIoT機器の乗っ取りは、多くの場合、他人を攻撃するための道具として使われます。 自分の家の通信量が少し増えるだけなので、気づかないまま何年も続くことがあります。
国もここを問題視しており、総務省とNICTは「NOTICE」という取り組みで、インターネット側から機器を調べ、危ない状態の利用者にプロバイダ経由で注意喚起しています。2024年4月以降は、パスワードだけでなくファームウェアに脆弱性がある機器も調査対象に加わりました(総務省・NOTICE公式サイト・最終確認日:2026-07-28)。裏を返せば、国が調べて連絡しなければ気づけない領域だ、ということです。
機器タイプ別・現実的なリスクと守り方
すべての機器を同じ熱量で守る必要はありません。リスクの大きさと、対策のしやすさは機器によってかなり違います。
家庭のセキュリティ | 機器タイプ別
ソフトが入る機器・入らない機器の守り方
入らない機器は「ネットワーク側」と「設定」で守ります
| 機器に直接ソフト | ルーター側の対策 | 設定の手間 | |
|---|---|---|---|
| パソコン・スマホ 対策ソフトが使える | ○ 専用ソフトを入れられる | ○ あわせて効く | ○ 導入は比較的かんたん |
| スマートテレビ・Fire TV等 動画配信の端末 | × 原則入れられない | ○ 通信の遮断が効く | △ アカウントと更新の確認が要る |
| ゲーム機(Switch・PS5等) 課金情報が入る | × 入れられない | △ 効く範囲は限定的 | △ 2段階認証の設定が要る |
| スマートスピーカー・IoT家電 掃除機・照明など | × 入れられない | ○ 分離すれば影響を抑えやすい | △ 機種ごとに設定がばらばら |
| ネットワークカメラ・NAS 外から接続する機器 | × 入れられない | △ 外向けの穴は塞ぎきれない | × パスワードと公開設定の見直しが必須 |
- ※「ルーター側の対策」は通信を制限するもので、機器そのものの脆弱性をなくすものではありません
- ※ルーターの機能の名前と有無は、メーカー・機種によって異なります
セキュリティくらべ
いちばん優先すべきは、表のいちばん下、外からアクセスできる状態にしている機器です。ネットワークカメラ、NAS、外出先から操作する機器。ここだけは真っ先に見てください。逆に、家の中からしか使わない照明やスピーカーは、優先度を下げて構いません。
ゲーム機については、誤解されがちなので補足します。ゲーム機で現実に多いのは「ウイルス感染」ではなく、アカウントの乗っ取りと不正課金です。 ここに効くのはネットワークの設定ではなく、2段階認証です。認証アプリの選び方もあわせて設定しておいてください。
費用ゼロでできる5つの対策(優先順)
順番に意味があります。上から3つまでで、家庭のリスクの大部分に手が届きます。
1. ルーターの管理画面のパスワードを変える
家じゅうの機器の入り口はルーターです。 ここが初期パスワードのままだと、他の対策の効果が薄れます。ルーターの設定画面(説明書に書かれたアドレスをブラウザで開く)にログインし、管理者パスワードを推測されにくいものへ変更してください。Wi-Fiの接続パスワードとは別物なので、混同しないよう注意します。
2. 「外からのアクセス」をオフにする
ルーターの設定に、リモート管理(外部からの設定変更)やポート開放、UPnP といった項目があります。外出先から自宅の機器を操作する明確な理由がないなら、オフにしてください。特にリモート管理は、多くの家庭で不要です。
ネットワークカメラを外から見られるように設定している場合は、その機能が本当に必要かをもう一度考えてください。 必要なら、メーカー純正のクラウドサービス経由(自分のアカウントでログインする方式)に切り替えるほうが、直接インターネットに機器をさらすより安全です。
3. 自動更新をすべてオンにする
ルーター、テレビ、ゲーム機、スマート家電。設定に「自動更新」「ファームウェア更新」があれば、片っ端からオンにします。IoT機器の被害の多くは、修正済みの古い欠陥が放置された機器で起きます。 更新が自動で当たるなら、それだけで狙われる理由がひとつ減ります。
4. 使っていない機器をネットから外す
もう使っていない古いタブレット、前に買ったスマートプラグ、押し入れのプリンター。使わない機器がつながったままなのは、鍵をかけていない裏口をひとつ増やしているのと同じです。 Wi-Fiの設定を消すか、電源を抜きます。これは費用も手間もゼロで、確実に効きます。
5. IoT機器をゲスト用のネットワークに分ける
少し上級ですが、効果は明確です。多くのルーターには**ゲストポート(ゲストSSID)**という機能があり、来客用に「インターネットにはつながるが、家の中の他の機器にはアクセスできない」別のWi-Fiを作れます。バッファローは「ゲストポート」、NEC Atermは「ネットワーク分離機能」といった名前で提供しています(各社サポート情報・最終確認日:2026-07-28)。
ここに、乗っ取られても困りにくい機器(スマート照明、スマートプラグ、来客用)を寄せます。 万一その機器が踏み台にされても、同じネットワークにあるパソコンやNASへ手を伸ばしにくくなります。
ただし注意点があります。ゲスト側に置いた機器は、スマホから直接操作できなくなることがあります。 テレビへのキャスト、プリンター、NASのように「家の中の他の機器と通信することが前提」の機器をゲスト側に置くと、単に使えなくなります。分ける対象は慎重に選んでください。
関連して、ルーターにはプライバシーセパレーターという似た機能もあります。これは同じWi-Fiにつないだ端末同士の通信を禁止するもので、家庭でオンにするとプリンターやキャストが使えなくなります(バッファロー等のサポート情報・最終確認日:2026-07-28)。家庭では通常オフのままで問題ありません。
ネットワークごと守る方法は、いま何が選べるのか
「機器に入れられないなら、ルーターのところでまとめて守る製品を買えばいい」——理屈としては正しく、実際にそういう製品があります。ただし2026年7月時点で、選択肢は減っています。
家庭のセキュリティ | まとめて守る方法
ネットワーク側で守る4つの手段
2026年7月時点で選べるもの・選べなくなったもの
| 費用 | 対象になる機器 | 今から始められるか | |
|---|---|---|---|
| 手動の設定(本記事の5項目) パスワード・更新・分離 | ○ 無料 | ○ すべての機器 | ○ 今日から始められる |
| ルーター内蔵の保護機能 AiProtection・HomeShield等 | △ 無料の範囲と有料の範囲がある | ○ つながる機器全体 | △ 対応ルーターが必要 |
| パソコン側ソフトの点検機能 ネットワーク検査など | △ 有料ソフトの一機能 | △ 点検はできるが保護は端末単位 | ○ 今の契約のまま使える |
| 専用機器(ホームネットワーク保護) ルーターに挿す箱型 | × 新規の申し込みができない | ○ つながる機器全体 | × 国内の代表製品は新規終了 |
- ※提供状況は変わる可能性があります。最新は各メーカーの公式情報をご確認ください
- ※どの方法も、機器そのものの欠陥を消すものではありません
セキュリティくらべ
専用機器という選択肢は、いま新規で選びにくい
国内で代表的だったのが、ルーターにLANケーブルでつなぎ、家庭内の全機器の通信を見張るトレンドマイクロの**「ウイルスバスター for Home Network」**です。スマートテレビ、ゲーム機、IPカメラ、NAS、スマートスピーカーのように、ウイルスバスターを入れられない機器を保護する、という位置づけの製品でした。
ところが公式サポート情報によると、この製品は2025年6月30日で新規の利用登録が終了しています。さらに2026年6月9日でライセンス更新の受付が停止、2026年7月1日であんしん自動更新への加入受付が停止、そして2027年9月30日でサポート終了が案内されています(トレンドマイクロ公式サポート情報・最終確認日:2026-07-28)。
つまり、これから「箱を買って家じゅう守る」という方法は、実質選べません。 すでに使っている人も、2027年秋に向けて次の手を考える時期に入っています。この事実を書いていない解説記事がまだ多いので、ここは注意してください。
現実的なのは「ルーター内蔵の機能」と「手動の設定」
いま選びやすいのは、ルーター自体に保護機能が組み込まれているタイプです。ASUSの「AiProtection」(トレンドマイクロの技術提供)や、TP-Linkの「HomeShield」などが該当します。AiProtectionは追加費用なしで使える機能として案内されており、HomeShieldは無料で使える範囲と、有料契約で使える範囲に分かれています(各社公式情報・最終確認日:2026-07-28。国内価格・提供内容は変わる可能性があるため、購入前に必ず公式でご確認ください)。
とはいえ、この機能のためだけにルーターを買い替えるかは、慎重に考えてよい部分です。ルーターの買い替えを検討すべき本当の理由は、保護機能よりも「サポート期間」のほうです。
買い替えの本当の判断基準はサポート期限
Wi-Fiルーターは、メーカーのサポートが終わるとファームウェアの更新が止まります。更新が止まった機器は、新しい欠陥が見つかっても直りません。 サポート期間はメーカー・機種ごとに異なるため、「何年で買い替え」と一律には言えませんが、INTERNET Watchなどが主要メーカーのサポート情報のまとめと、終了製品の調べ方を公開しています(最終確認日:2026-07-28)。
まずは、自宅のルーターの型番をメモして、メーカーの公式サイトでサポート状況を調べてください。 すでに終了しているなら、それが今日いちばん優先度の高い出費です。ルーターを軸に家じゅうを守る考え方は、VPN対応ルーターで家じゅうを保護する方法でも扱っています。
サポートが切れた古いルーターを使い続けていることが分かった人は、買い替えを検討してください。選ぶ際は、速度や規格より先に**「発売時期が新しく、メーカーのサポート期間が長く残っているか」**を見てください。
パソコン側のソフトで「家の中の機器」を点検する
もうひとつ、見落とされがちな方法があります。パソコンに入れている総合セキュリティソフトの中に、家庭内ネットワークを点検する機能が含まれていることがあります。
たとえばESETには**「ネットワーク検査」**という機能があり、自宅ネットワークにつながっている機器を種類別(ルーター、プリンター、モバイル機器など)に一覧表示し、ルーターの弱いパスワードや開いているポートといった問題点を検出できると案内されています(ESETオンラインヘルプ・最終確認日:2026-07-28)。
これは「IoT機器そのものを守るソフト」ではありません。あくまで点検役です。 それでも、家の中に何台つながっているのか、見覚えのない機器はないか、ルーターの設定に穴はないかを、専門知識なしで一覧できる価値は小さくありません。この記事で挙げた「外からのアクセスをオフにする」が本当にできているかを、後から確かめる手段にもなります。
ウイルスバスター クラウドにも「ホームネットワークのデバイス検索」という機能がありますが、こちらは同じネットワーク内のWindows・Mac・Android・iPhone・iPadがウイルスバスターで保護されているかを確認するもの、という位置づけです(トレンドマイクロ公式サポート情報・最終確認日:2026-07-28)。スマート家電そのものを保護する機能ではない点を、正しく理解しておいてください。
家族の端末が多く、「そもそも家に何がつながっているのか把握できていない」という人には、点検機能つきの製品を1本入れておく意味があります。
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日本語サポートを重視する人や、家族の端末をまとめたい人には国内定番の選択肢もあります。製品ごとの向き不向きはウイルス対策ソフトの選び方にまとめました。
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やりがちな失敗と誤解
「ウイルス対策ソフトを入れれば家じゅう守られる」と思っている 守られるのは、そのソフトを入れた端末だけです。テレビやスピーカーは対象外です。この記事はそこの穴を埋める話です。
Wi-Fiのパスワードだけ変えて安心している Wi-Fiの接続パスワードと、ルーターの管理画面のパスワードは別物です。多くの家庭で、後者が初期値のまま残っています。
古いルーターを「まだつながるから」と使い続けている つながることと、守られていることは別です。サポートが終わった機器は、欠陥が直らない状態で動き続けます。
IoT機器を全部ゲストネットワークに追いやってしまう キャスト、プリンター、NASなど、家の中の他の機器と通信する前提の機器は使えなくなります。分けるのは「単独で動く機器」だけにしてください。
心配のあまり全部インターネットから切る 更新も届かなくなるので、逆効果になることがあります。自動更新は残すのが基本です。
よくある質問(FAQ)
Q. スマートテレビにウイルス対策アプリは入れられますか? A. 一部のAndroid TV搭載機ではアプリを入れられる場合がありますが、パソコン向けと同等の保護を期待できるものではありません。テレビは「本体の自動更新をオンにし、使わない配信アプリのアカウントをログアウトしておく」ほうが現実的です。
Q. スマートスピーカーは会話を盗み聞きされませんか? A. 家庭のスピーカーが個別に狙われるより、アカウントの乗っ取りや、家族以外による操作のほうが起こりやすい問題です。連携アカウントに2段階認証をかけ、使わない連携サービスを外すのが効きます。マイクの物理オフスイッチがある機種なら、来客時などに使ってください。
Q. ネットワークカメラは危ないので使わないほうがいいですか? A. 使い方次第です。初期パスワードを変え、インターネットへ直接公開せず、メーカーのクラウド経由で見る設定にしていれば、リスクはかなり下がります。 危ないのはカメラそのものではなく、外から誰でも到達できる状態で置くことです。
Q. プロバイダやNOTICEから注意喚起が来たらどうすればいいですか? A. 対象の機器を特定し、パスワードの変更とファームウェアの更新を行ってください。更新が提供されていない古い機器なら、買い替えが確実です。連絡が来た時点で、外から到達できる状態になっているということです。
Q. 結局、どこから手を付ければいいですか? A. ①ルーターの管理パスワード変更 ②外からのアクセスをオフ ③自動更新オン、の3つです。費用ゼロで、家庭で起きうる問題の多くに届きます。
こんな人におすすめ
- パソコンとスマホは対策済みだが、テレビやスマート家電が気になっている人
- 家にネットにつながる機器が増えてきて、把握できなくなっている人
- ネットワークカメラやNASを外から使っていて、設定に自信がない人
- 「家じゅう守れる機器」を探していて、何を買えばいいか分からなくなっている人
- 実家の機器の面倒を見ていて、遠隔でも効く対策を探している人(離れて暮らす親のパソコンを守る方法もあわせてどうぞ)
まとめると、ソフトが入らない機器は「入り口=ルーター」と「機器の設定」で守る、これに尽きます。専用機器で家じゅうまとめて、という選択肢が国内では細っている以上、無料でできる3つ(管理パスワード変更・外部アクセスをオフ・自動更新オン)の価値は相対的に上がっています。今日30分だけ、ルーターの設定画面を開いてみてください。
※料金・機能・提供状況は執筆時点のものです。最新は各公式でご確認ください(最終確認日:2026-07-28)。「これをやれば100%安全」という方法は存在しない前提で、守備範囲の違う対策を組み合わせてください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 政府広報オンライン「ウェブカメラやルータが乗っ取られる?IoT機器のセキュリティ対策は万全ですか?」(2026-07-28閲覧)
- 総務省・NICT「NOTICE」公式サイトおよび総務省報道資料(改正NICT法にもとづく調査対象の拡大/2026-07-28閲覧)
- トレンドマイクロ公式サポート「ウイルスバスター for Home Network 新規利用登録の終了について」「ライセンス更新受付停止のお知らせ」「ウイルスバスター クラウド ホームネットワークのデバイス検索」(2026-07-28閲覧)
- ESETオンラインヘルプ「ネットワーク検査」、バッファロー/NEC Atermのゲストポート・ネットワーク分離機能に関するサポート情報(2026-07-28閲覧)